年始はゆったりとゴロゴロしております。
ぱんだり(@pandaryman)でございます。
前回までで、プリントの色に関するお話は大体わかりましたでしょうか?前回までのお話は、こちら!
「写真をプリントする」
そんな時に一番に決めるのは「サイズ」ですね。
しかしながら、いざプリントしてみると「必要なところが切れてる」とか「あれ?なんかバランス悪い…」なんて事も多々あります。
様々な要因が考えられますが、一番多い原因としては「撮影しているデータのアスペクト比と用紙サイズのアスペクト比が合っていない」ことが挙げられます。
実はぱんだり、要望があれば写真のアドバイザー的な事もしております。
その中で、この問題に関しては非常に多くの人が知らないな…と感じています。
写真歴が20年を超えたりする人も含めて10人いたとしますと、実に8~9人が知らない印象です。
そんなわけで、今回、写真サイズと撮影データのアスペクト比についてまとめていこうと思います。
アスペクト比
アスペクト比の定義はいろいろあるようですが、今回のお話については 四角の長辺と短辺の比率 とします。
よく目にするアスペクト比 … 1:1 , 5:6 , 4:5 , 3:4 , 2:3 , 16:9
さて、この中で一番長細いのはどれでしょう?
わかりますよね? 16:9です。
一番正方形に近いのはどれでしょう?
そうですね、1:1ですね。
でも、真ん中の 4つ 5:6 , 4:5 , 3:4 , 2:3 の関係はわかりますか?
いきなり言われてもわかりにくいですね。
答えは、5:6 → 4:5 → 3:4 → 2:3 の順に長細くなっていきます。
このあたり、わかりやすくするのは簡単です。
長辺÷短辺 で計算してあげれば良いのです。
1に近づくにつれて正方形に近づいていきます。数字が大きくなればなるほど長細くなっていきます。
カメラごとのアスペクト比
フィルム時代の35mm判(ライカ判)に相当するカメラについていえば、36x24mmのフレームに準拠していますので、アスペクト比は2:3(1.5)となります。
APS-Cサイズについても、ベースとなる思想からアスペクト比は2:3(1.5)となっています。
ただまぁ、これが正義だと言わんばかりの人が多くてちょっとうーーん…となってしまいますけれど、それ以外ももちろんあるわけです。
例えばコンパクトデジタルカメラは、その歴史(ビデオカメラの素子を流用して開発されたとかなんとか)から4:3(1.33)比率のものが多いです。
また、マイクロフォーサーズも4:3(1.33)ですね。
そして、FUJIFILMのGFXシリーズも4:3(1.33)フォーマットを使用しています。
スマートフォンのアプリなどは16:9(1.78)で撮影するものも多いです。
デジタルカメラのアスペクト比は、設定できるものも多いです。
しかし、センサーサイズに対して、内接するようにトリミングするため、画素数が減ることには注意が必要です。
しかしながら、撮影時と最終出力時のアスペクト比が大きく違うと不都合なこともあります。
よく使う最終出力サイズに合わせてアスペクト比を設定しておく事が、最終出力時に混乱しにくくなるコツです。
(僕自身、GFXを使う時は2:3にアスペクト比を設定しています。)
写真サイズとアスペクト比
今回は、額という話を抜きにして単純に写真をプリントする というお話で進めていきます。
※額にはある種の制約があるため、話を単純にするため額の話を除きます。
写真のサイズというのは独特なサイズになります。
(A判やB判はインクジェットプリントが出てきてからの文化になります。)
サイズ | mm | アスペクト比 (長辺/短辺) |
大全紙 | 508×610 | 1.20 |
A2 | 420x594 | 1.41 |
全紙 | 457×560 | 1.23 |
A3ノビ | 329×483 | 1.47 |
半切 | 356×432 | 1.21 |
A3 | 297×420 | 1.41 |
ワイド四切 | 254×366 | 1.44 |
四切 | 254×305 | 1.20 |
A4 | 210×297 | 1.41 |
ワイド六切 | 203×305 | 1.50 |
六切 | 203×254 | 1.25 |
2L | 127×178 | 1.40 |
KG | 102×152 | 1.49 |
L133 | 89×133 | 1.49 |
L | 89×127 | 1.43 |
DSC | 89×119 | 1.34 |
大全紙といわれる508x610mmサイズを基準に、1/4したものが四切、1/6したものが六切と言われます。
半切は大全紙を単純に半分にしたサイズではなさそうです。ここの歴史について知っている人がいたら教えてください。
重要なポイントは、大全紙・全紙・半切・四切・六切の全てが、ほぼ5:6(1.20)~4:5(1.25)のアスペクト比ということです。
これはおそらくですが、シートフィルム(4×5、8×10など)といったライカ判より前のフォーマットに合わせて作られたものなのではないかな?と思っております。
ただ、予想です。歴史の流れから想像しただけなので、詳しい方がいれば教えてください。ぜひとも。
その後ライカ判に対応するため、四切を拡張したワイド四切、六切を拡張したワイド六切が出てきたと考えられます。
このどちらも、短辺はそのままに、長辺を伸ばすことでほぼ2:3(1.5)に対応しています。
なお、インクジェットの普及によりA4やA3、A3ノビというサイズも写真界隈に入ってきていますが、額縁などの対応はまだまだ少ないですね。
(きっとこのまま印刷文化は廃れていくぅ…)
ここまで見ていくと、写真のサイズはアスペクト比5:6(1.20)~4:5(1.25)付近と2:3(1.5)に偏っています。
4:3(1.33)に至っては、何それ美味しいの?状態です。
唯一、コンパクトデジタルカメラの普及時に作られたDSC(場合によってDSL)サイズが1.33対応となっています。
L判よりも長辺を8mm短くすることで4.3(1.33)で撮られた写真のほぼ全面をプリントできるようにしています。
4:3(1.33)対応のプリント用紙って、これだけなんです。
これは、4:3(1.33)フォーマットのカメラで撮影されたデータを大きくプリントする場合、必ずどこかしらが大きく見切れてしまうということです。
※実際いろいろなメーカーの額について言えば、4:3は全く意識されていません。激しく差別されています。仕方ないけど…
話しがそれてしまいましたが、
マイクロフォーサーズで撮った写真をLサイズくらいでプリントする時は、DSC(DSL)サイズを選びましょう!これ、豆知識ね。
余談ですが、L判に近いフォーマットでLWとかL133とかそういった名前で呼ばれているサイズがあります。
L判のアスペクト比は1.43ですがこれは2:3(1.5)の写真をプリントすると長辺が少し切れてしまいます。
そのため、長辺を6mm伸ばして133mmにしたL判の拡張サイズが存在します。
こうすることで、2:3(1.5)の撮影データをほぼ全面入れることができるようになっています。
全国的な一般への普及はここ数年のようですが、学校写真など商業写真を扱うプロカメラマンの間では古くから必須なサイズでした。
誰かの結婚式などで撮影した写真をプリントしてプレゼントする時、L133でプリントすれば自分が撮影したほぼそのままのトリミングで出力できます。
もしも「他の人より少し長いね」なんて気づかれたら、「プロがよく使っているサイズなんだよ~」とか言うと格好良いかもしれませんね。
(ウザがられても、当方は一切責任を持ちません。
データと用紙のアスペクト比が違うとどうなるの?
単純に、切れます。
切れてなぁ~いでぇ~す と言えるのは、データと用紙のアスペクト比が同じ場合のみです。
A4(1.41)に3:4と2:3の写真をはめてみた。
今回は便宜上、横長の写真としてA4用紙に写真データをセットしてみました。
3:4(1.33)の場合、上下が切れます。(縦写真なら左右)
2:3(1.50)の場合、左右が切れます。(縦写真なら上下)
データのアスペクト比と用紙のアスペクトが近ければ近いほど、切れる部分は少なくなります。
横長の場合、
用紙のアスペクト比よりもデータのアスペクト比が大きいと左右が切れます。
用紙のアスペクト比よりもデータのアスペクト比が小さいと上下が切れます。
四切(1.2)に3:4と2:3の写真をはめてみた
今回は、プリントに対してどちらもアスペクト比が大きい場合です。
分かりやすく向かって右側に寄せてみました。2:3(1.5)の方が大きく切れています。
2:3(1.5)のカメラを使っている人がコンテストの制限(や展示会の制限)などでアスペクト比5:6(1.2)の用紙を使わなければいけない事があります。
もちろん、切れることで良くなる写真もありますし、ほんの少しでも切れてしまうと一気にバランスが崩れてしまう写真もあります。
現状で見てきた中では、残念な写真になってしまう人の方が多いです。
(本来、そういったところに所属している人は普段から気を付けて写真を撮ることが必要ですし、
私自身師匠からは「最終出力を意識してフレーミングすることが大切」と教えられてきました。
あとからなんとでも出来る、と思っているからこそハマってしまう罠があるのです)
打開策は「ノートリミング」(全面出力)
全てを丸く収めてしまうのが、「ノートリミング」という方法。
対応してくれるラボでなければ出力できませんが、
「私は全面少したりとも切れてほしくない!」とか「私の写真は2:3で完璧なんじゃぁぁぁ!」などという方はノートリミング(全面出力)で出力すると良いです。
もちろん、指定サイズ全面よりも写真の実サイズは小さくなりますが、言いたいところは全て出力できます。
よくノートリなどと言われます。
気を付けなければいけないのが、ラボで「ノートリ」というとデータ全面出力の事を言います。
対して、額縁のノートリは2:3比率で額を作っています。(例えば全紙ノートリとは全紙の辺に合わせて短辺を2:3で内接するようにした額)
↑ね?135ってついてるのは2:3って意味です。
3:4で撮影したデータを「ノートリで」と指定しようものなら…額にはキレイに収まりません。
とくに、アスペクト比を意識せずに好き勝手にトリミングしまくってるデジタル加工大好きカメラマンさんなどは痛い目を見ることが多いですので、注意が必要です。
まとめ
以前は、最終出力に合わせて撮影…というのが重要でしたが、デジタルカメラはトリミングなども自由自在にできるようになっています。
だからこそ、
最終出力は出力したいところだけを出力する!
不要なところは切り落としてアスペクト比もどんどん変えていく!
という考えでも良いのではないかと実は思っていたりします。(全部ノートリでええんよっ!)
もしも、額縁にいれなければいけないのであれば、お金を出してプリントに合わせた額に再加工すれば良いだけだと思うのです。
※自分の作品のためにケチるってのは、結局それだけの作品なんだろうなって思いますしね。
今の時代、額だとかプリントの制限をうまい具合に乗り越えていけば良いんじゃないかなぁ…というのが本音でもあります。
そんな感じで写真サイズのアスペクト比について、しっかり理解できるように頑張って書いてみました。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
皆さまのプリントライフがより良いものになりますように! へばなっ!
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