【知っとこプリントの事】お店プリントで写真を少しでも綺麗に出力するコツ

カメラのお話

最近はセルフポートレートが撮影できていないのですが、こうしてアウトプットするのが勉強になるなと勉強していたりする。 ぱんだり(@pandaryman)でございます。

全てはチームのために!

お店プリントは楽でよいですね。
それでも綺麗に出力されない事、ありますよね。
「〇〇ってお店は綺麗に出力されない」とか「せっかくキャリブレーションしているのに綺麗に出ない」とかいろいろ耳にします。
正直、「それは感性の違いなだけなのでは?」とか客観的に見て感じる部分はありますが、ポイントがあることを知らない人がほとんどです。
そういうわけで、お店プリントで綺麗に出力するコツをまとめてみました。

いきなり結論。完全無補正で自分でレタッチを頑張るのが一番!

いきなり結論ですが、完全無補正というオーダーができるDPE店で、自分でプリンタに対してカラーマネジメントをしていくのが一番です。

まず、大前提として「ディスプレイのように鮮やかな出力は出ません」

ディスプレイは透過光で表現します。対してプリントは反射光。どうしても、透過光はバックライトがある分の透明感、透き通り感が素敵ですし、鮮やかさは非常に美しいです。
対して、プリントは反射光。環境光にも依存しますが、ディスプレイより遥かにダイナミックレンジが狭いです。
(誤解のある表現ですがわかりやすくするためにダイナミックレンジと記載してます)
インクジェットはレンジが広いわりに表面だけの薄っぺらい感じ。表面コート(ラミネートなり)をしていくと透明感や深さが増してきますがディスプレイには劣ります。
印画紙はレンジが狭く、独特の癖がある反面、三層表現の色の深さは「わかる人にわかる」不思議な魅力があります。
それでも、ディスプレイの綺麗さにはかなわなかったりすることがほとんどです。もちろん、たまには逆がありますが。
※ぱんだり調べ。印象には個人差があります。

昔のポジフィルムであればまだ別の話ですが、かのダイレクトプリントは本当にポジフィルムのように綺麗な出力でした。
もちろんその分、高価ではありましたが、それだけの魅力がありました。
※今ではダイレクトプリントはなくなっているようです。あれば教えてください。ダイレクトしたいポジがあるんよ。

そして、よくある「お店プリントは綺麗にでない」という事について、お店プリントのフローを見ながら、どうしたら良いか説明していきます。

※もちろん、これは僕が知っている範囲での話なので、もっと違うフローのお店もあるかもしれないことを付け加えておきます。

 

印画紙プリントのワークフローを見てみよう

しつこく言いますけど、違うお店もあるかもしれませんからね。違うお店は許してちょ。

多くのお店のワークフローとしては次のような感じだと思います。

お店プリントのワークフロー

(a)発注するための店頭の受付機でデータを選んで注文する
  ※取り込まれたデータは、プリンタをコントロールする専用ソフトで自動補正がかけられる
(b)店員さんが受付機のデータを画面に表示する。
  (この時には自動補正がかかっています。店員さんは自動補正前がどんなデータかを知りません。
  自動補正されたデータを店員さんが画面で見て、それぞれの感覚で補正をする
   ※通常は明るさとYMCのバランス(全体の補正)くらい。
    彩度やシャドーハイライト、コントラストを調整をするところ(スタッフ)もある。
(c)店員さんが補正したデータをプリンタに送り、出力する。(印画紙によって若干クセがある)

これは元々、デジカメのデータはレタッチされずに持ってこられるという概念の中で生まれた思想です。(フィルム時代からの名残です)

これが通常の流れですが、どこに問題点があるかわかりますか?

綺麗にでない、思い通りに出ないポイントは主に二か所。
「プリンタをコントロールする専用ソフトで自動補正がかけられる」「自動補正されたデータを店員さんが画面で見て、それぞれの感覚で補正をする」です!

プリンタをコントロールする専用ソフトで自動補正がかかるデメリット

特に、自分で現像・レタッチをしている人にとって「プリンタをコントロールする専用ソフトで自動補正がかけられる」は諸悪の根源でしかありません。

※以降、便宜上「プリンタをコントロールする専用ソフト」「ラボ機」とします。厳密には違いますが。

機械(ソフト)による自動補正は、写真を趣味にしていない人の写真をそれなりに綺麗に仕上げる機能です。
その機能は、「どれくらい明るさを持ち上げたらノイズが酷くなるか」「どれくらい色を傾けたら綺麗になるか?」など、一切考えません。
(いや、AIがどうのこうのといっても現状はまだ無理じゃないかな…と。あと数年したらわかりませんが、その前に印画紙つぶれちゃうかもしれませんしねぇ…)

そのため、レタッチして作者が良いと思っても、ラボ機では自動的に逆方向に修正されてしまうこともあります
たとえば普通の濃度で撮影したデータをアンダーに仕上げたとして、ラボ機に取り込むとラボ機が「この写真は暗い」と判断し、明るく自動補正をしてしまいます。
作者の意図など、おかまいなしです。

レタッチデータのDPEフロー

このように、意図して青くアンダーにしたはずの写真が、黄色く明るくプリントされる可能性が十分にあります。(自動補正とオペレーターさんの判断による)

店員さんが補正するデメリット

「自動補正されたデータを店員さんが画面で見て、それぞれの感覚で補正をする」のも厄介です。

自動補正されたデータは、画面上に表示されます。
スタッフさん(以下オペレーターさん)は元データがどんな画だったのか、知りません。
自動補正されたデータを見て、自動補正ではできなかったことを調整していきます。
基本は、人の顔に合わせていきます。
もしくは環境光も少し意識して写真を補正します。
ここに、作者以外の「ヒト」の意識が介入します。
そしてそれは、答えのない世界。
シアンを引くのか、マゼンタを足すのか、ルールはありません。
感性が違うオペレーターさんに出会うと最悪です。

感性が違うオペレーターさんに出会う=「思ったプリントでの仕上がりではない」です。

 

フィルム時代を支えてきた熟練のオペレーターさんであれば、雇用形態にかかわらず素晴らしいオペレーターさんがいるのは事実です(よくネットではアルバイトうんぬんと悪口を耳にするけどそうじゃないよね)

しかし、コスト問題が優先される昨今、そして写真がプリントされることが少ない現在、こういった優秀なオペレーターさんが非常に少なく貴重な存在だということも事実です。

==以下個人的見解 START==

相手もプロです。
オペレーターさんの「信念」によって調整されているわけですから、思ったような仕上がりでなかったとしても、そこは「感性が違うんだ、この人はこういう色なんだ」と考えるべきです。
写真だもの。芸術だもの。

もし、思ったように調整してほしければ、正しい言葉で発注するとよいと思います。
きちんと、自分のしてほしいことを明確な文言で伝えるべきです。(コミュ障には辛い)

あなたが料理人(オペレーター)だったとします。
肉とたまねぎとじゃがいもと人参を渡されて「料理して」と言われても、何を作ればよいのかわからないですよね。
あなたはカレーを作った。でも、材料を渡した人はにくじゃがを作ってほしかったのかもしれない。
それで「プロなのになぜ僕が作ってほしいものを作ってくれないんだ?」なんて言われたら、どうしようもないですよね。

残念ながら、知り合いのカメラマンさんにはそれができる人があまりいないのが現状で、ちょっと悔しかったりする。
中には僕色が出したいんだけど、あのラボじゃ出ないんだよねぇ」なんていうカメラマンさんがいました。
ねぇ、僕色ってなに?


もしも、自分が求める絵があるなら、プリントを受け取ってすぐに確認してからその場で伝えた方が良いです。
「もう少し全体的に青みを出してほしい」とか、「もっとコントラストを上げてほしい」とかそんな感じ。
相手も人間だから記憶は薄れていくわけで、できるだけすぐに伝えてあげる方がこれから先の参考にもしやすいですしね。
すぐであれば快く焼き直しをしてくれるところ、多いんじゃないかなぁ。

※インクジェットを色見本にするのは、色傾向が違うからあまりお勧めしないです。
 インクジェットを見本でつけるときは「だいたいこんな感じで」くらいに、相手に少しのゆとりを持たせる方が、熟練のオペレーターさんならちょうどよいバランスを見つけてくれると思いますよ。

==個人的見解 END==

こんな理由で、現像・レタッチをしている人にとって、お店プリントって、実は「思い通りにプリントが出ない」構造になっているのが現状です。

オペレーターさんが補正しないプリントってどんなイメージ?

オペレーターさんが介入しないタイプのプリントもあります。

格安プリント

格安プリントに多いフローです。
これだと、オペレーターさんが熟練である必要もありません。写真の事を知らなくてもできます。

ちなみに格安プリントの「プロのオペレーターが補正します!」とうたっているのはオペレーターさんが補正している通常の流れですね。

※熟練かどうかはしらん。よく考えたら、熟練ってどこからが熟練なんだろう??

現像・レタッチをしているなら完全無補正プリントが必須!

※あまりない事だと思いますけれど、ここでは現像のディスプレイと最終出力がカラーマネジメントされているものとしてます。

自分の好みの色を出したい場合、「完全無補正」プリントができるお店がおすすめ!むしろ必須!
前途している機械の自動補正、オペレーターによる補正の両方を使わずにプリントするのが完全無補正。

もちろん、ラボの機械のメーカーの味付けや薬品などで少しずつ違うみたいだけれど、それは個性だよ思うことにしてます。
同じお店でも、ペーパーによっては若干違うし、朝と夕方ではやはり若干違うらしいけれど、機械は毎朝調整されているから品質は安定しています。

機械の自動制御や誰か他人の意思が介入しにくい仕組みは、一番自分の好みを反映させやすいですよね。

完全無補正でプリントしてみて「ちょっと青いかな?」と感じたら、ディスプレイがプリントに対して少し黄色い設定になっているので、少し青を足してあげれば良い。
こればかりは、キャリブレーションではどうにもならないので、少し調整してあげると良い。
こういった調整を何度か行って最終出力(プリント)に対してディスプレイを調整することで、画面に近いプリントを安定して作ることができるようになります

プロカメラマンとして現役だった時、大手アルバム会社では、カラーチャートをダウンロードできるようになっていて、そこの出力のカラーチャートと自分のディスプレイがほぼ一致するように調整してた。
底辺といわれる業種のプロでしたが、それでもこういった作業は「常識」だったわけです。

いつだったか出会ったカメラマンさんは
「出力にカメラマンが色を合わせるって意味がわかんない。出力側が合わせなきゃダメでしょ」
なんて言ってたけれど。
とても面白い感性をもったカメラマンさんでした。(不思議な人ではあるけどめっちゃ面白い方)

無補正プリント

おまかせというのも一つの手段!

専業特化したラボもあったりします。
いわゆるプロラボもそうですが、小さな町の写真屋さんとかでも展示会向けに特化した経験を積んでいるラボがあったりします。
そういうところでは、独自の観点で写真を見てくれるし、それぞれのノウハウで写真をプリントしてくれたりもします。

ただ、こういったところでは手作業で行っている、つまり、人が関与しているので感性が異なる部分は許容する必要があります
どうしても伝えておきたいところ、作者として大切にしたいところはできるだけ正しい言葉で伝えてあげると、意図を組んでくれたり、一緒に考えてくれたりします

そんなラボでのプリントを試してみるのも一つの手で、特に現像迷子になったりした時は客観視したアドバイスをくれたりするので非常に便利だと思いますよ。

印画紙の特徴に負けるな!

お店プリント、つまり、印画紙はインクジェットに比べて色域が狭いという特徴を持っています。
印画紙プリントをする場合、画面で見た色よりさらにせまい色域で表現されるので、注意が必要です。
「画面ではつぶれていないのに…」印画紙だと色つぶれを起こすことが多々あります。

そこも含めて現像できるようになると、非常に綺麗な印画紙プリントを作ることができます。
(印画紙の綺麗なプリントを見ると「この人は芯から写真が上手い人なんだなぁ」と思います。

いくつかポイントを上げると、
レモン色は出にくいです。(菜の花、向日葵が特に顕著)
朱色も出ません。(彼岸花なんてすごく顕著ですよね。あとは紅葉。)

レモン色については、僕は少しノウハウを持っていますが、まだ修行中の身につき、ちょっと掲載しないでおきます。
ぜひ、印画紙プリントに挑戦して、対策方法を探してみてください。
むしろ、朱色の対策がわかったら教えてほしい…

まとめ

印画紙プリントって、コストがかかるイメージですけど、それなりの楽しみってあると思うんですよ。インクジェットはインクジェットの楽しみがあるけれど。

とにかくプリントってドキドキする。

今回は、「プリントって基本的にカメラで見たようには出力されない」って事を知ってほしくて書きました。

そして、こだわるなら無補正プリントがおススメって事を知っておいてもらえるとそれだけで満足かな。

もし、プリントが思った通りでなくても、自分がきっちりとできていなければ「それは感性の問題だ、新しい感性での表現がこのプリントだ」って感じで楽しんでほしいなっていう想いがあります。

少しでも伝わったらよいなぁ。プリント、楽しいから、広がれ~!!

これを読んだ人、ぜひ、明日は1枚だけでもプリントしてみて!きっと楽しいから。

ほいじゃあのぉ!!

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