pan-035 蛍と戯れる 蛍ポートレート(2019.06)

ぱんだりろぐ

最近、家に帰ると玄関先で娘が死んだ真似をしています。
ぱんだり(@pandaryman)でございます。

なんかそんな有名なお話があったな…

さて今日は蛍ポートレートのお話。撮り方も説明しますよ。ただ、まだ足りていないことがあるかも。

蛍ポートレートは何年もやっていますが、気を付けないといけないことがたくさんです。
ここでは撮影方法そのものを記載していますが、僕もいろいろと気を付けていることがあるので、全てを書ききれていないかもしれません。
完全に、自己責任でお願いいたします。
また、「蛍に大きな迷惑をかけない。蛍をできる限り優先する」事、「他の撮影者に迷惑をかけない」事、「安全第一」を最優先してください。

蛍ポートレートでの大切な事

蛍ポートレートは、いろいろな方法があるのではないかと思いますが、僕が大切にしていることを書きます。

もちろん、最初の頃は僕も守れていなかったことがあります。

学んでいく中で知り、対策を立ててきた途中経過でもあります。

1.比較明合成を使う(モデルパート、蛍パートに分ける)

2.前撮りは日没前に行う

3.蛍を撮影している時は蛍の環境保護を行いながら撮影させてもらう

4.他の撮影者に迷惑をかけない

5.安全に留意する

1.比較明合成を使う

調べてみると蛍は光に非常に弱いと書いてあります。
そのため、蛍が飛んでいる時間帯にストロボを使うのはご法度です。
これは、絶対ダメです。

携帯も、蛍が飛んでいる方向に光を向けない方が良いかと思います。
スマフォのフラッシュや定常光などもってのほかです。
あと、できればCanon機などのアクセスランプも黒マステなどで覆っておく方が良いようです。
(可能なら、黒布をかけるのがマナーですね)

しかしながら、蛍が飛ぶ中で補助光なしで被写体を写すとなると真っ暗になりますよね。
そこで、前撮りをして、そのパートでは被写体と背景を撮影。
蛍が飛ぶようになったら、蛍を撮影して、後は比較明合成をする、という流れです。

もちろん、三脚はしっかりとしなければいけませんね。
(いつだったか、「蛍パートは真っ暗な中で撮影するからどこに向けてもええんや!」っていうカメラマンさんがいましたが、それも手ですよね。
僕はそれをせずにするのが楽しいのでそんなことまではしませんけどね。)

2.前撮りは日没前に行う

ここが、通常の比較明合成を使った蛍撮影と違うところです。

通常の蛍撮影では日没後真っ暗になる前(いわゆる薄暮)に前撮りをします。

僕の蛍ポートレートでは、日没前に行います。
日没前に、ドアンダーで、ストロボを使って被写体と背景を切り分けます。

もちろん、理想は薄暮の時間帯ですが、
薄暮は少なからず蛍が出てくる可能性がある=蛍に悪影響を与える可能性がある ため、
前撮りは日没前に完了させます。

また、蛍ポートレートは危険と隣り合わせな部分も少なからずあるので、被写体の安全確保の面でみても、「目で安全確認が取れる」うちに被写体パートを完了させるのが良いと思います。

もし、日没前でドアンダーに撮れなかった場合は、頑張って現像・レタッチするしかありません。

3.蛍を撮影している時は蛍の環境保護を行いながら撮影させてもらう

これは通常の蛍撮影と一緒です。

蛍に向けて懐中電灯ピカピカとか、ありえません。

もしつけなければいけない場合があるのであれば、必要最小限で済むように気をくばる必要があります。

蛍が止まっていそうな場所は、絶対に歩いてはいけないですね。(マムシもいますし)

もちろん、他のカメラマンにも迷惑をかけないようにしなければいけません。

歩いていい場所は、舗装路、人がよく歩いているあぜ道、水の中(それもできるだけ歩く道は固定する)だけです。

水の中に入る前に土の場所を踏まなければいけない場合はNGです。舗装路から、直で入水できなければいけません。(産卵している可能性があるため。)

4.他の撮影者に迷惑をかけない

当たり前です。

まず、「蛍の有名スポット」で蛍ポートレートをしてはいけません。喧嘩の元です。

先に到着しているカメラマンがいる場合、その人の画角内に入ったりカメラを設置してはいけません。

というか、最低限のマナーですよね。

今年、
「後から来たカメラマンが画角に入ってきたから「別の場所にしてくれないか?」と言ったら
「お前も俺の邪魔になるんだからお互い様だ」と言ってきた」
という話を聞きました。

真実はわかりませんが、それが本当であればなんというか悲しいお話ですね。

こういった話をよく聞くのですが、これは老若男女問わずあるようですね。老害だけにとどまらないようです。

そういった事もあり、僕は他のカメラマンさんの迷惑にならない場所で撮影しています。

また、このスポットを教えてくれた方は仲間内であまり公言されていないので、僕も場所は答えないようにしています。それだけは、先達に対しての礼儀かなと。

5.安全に留意する

当初始めたころは、これに対しての気持ちが薄かったのもあります。
だからこそ、今は強く気をつけています。

何かあった時にどうするか?の対策を必ずとっています。

1.一人ではいかない
2.携帯が必ずつながる場所にする
3.マムシ対策で長靴を使用する、土の部分、草の部分は歩かない
4.救急対応の病院が車で数分の場所にあること(救急車より早く病院に入れる距離であること)
5.入水する場合、流れが穏やかで水が少ない(溺れにくい)場所であること、流されてもすぐに対応できる場所であること
※具体的には、沈下橋的な橋の上流または堰の上流で行う

僕の蛍ポートレート

あまり意識高い系の事を言ったところでアレなので、もう少し具体的に。

ロケ地

いろいろと探していましたが、こんな条件のところは撮りやすいですよ!のまとめ。

1.安全対策の条件を満たす場所
⇒最低条件ですね。

2.沈下橋・堰みたいなものがコンクリートなどで作られている場所
⇒ただし、駐車場からそこまでが人が歩く場所(蛍が産卵しない場所)であること。
撮影時の待機場所になったり、撮影場所そのものになったりする。

3.すり鉢状の地形
⇒日没より早く影になるので、アンダーで撮影したときに夜の風景として馴染みやすい。

4.人が来ない・カメラマンが少ない場所
⇒観光客が来る場所は撮影には向いていません。
観光客に対して自分たちが邪魔になりますし、逆もしかり。

撮影タイミング

時期的には、蛍が出始めてすぐは避けるようにしています。
また、蛍が終わりごろになると早く産卵された子たちが水中に入る可能性があるので、終わりごろも避けるようにしています。

また、できるだけ湿気が多い日、できれば曇りの日が撮りやすいです
曇りの日は、湿気も多く、蛍がたくさん飛びます。
曇りであれば、明るい内にアンダーで撮影した背景が「夜っぽくなりやすい」からです。

撮影時の撮影終了タイミングは、蛍の活性が終わるまで待ちます。
活性が終わる時間まで待てば、懐中電灯などを使って安全に帰ることができるからです。

撮影方法そのものは、通常の蛍撮影(比較明合成を使う場合)と大きく違いません。
前撮りでストロボを使う場合はストロボを使うというくらいです。

ぱんだりの蛍撮影を公開

スタンダードゲンジボタル

蛍ポートレート
こんな結果でした。

ちなみに、前撮りはといえば…

蛍ポートレート
こんな感じです。(これはjpg撮って出し。Canonにて。18:30頃)

このタイミングでは、完全に失敗しました。

最初、曇っていて丁度よかったのに、晴れ間に近くなってしまい、こんな感じになってしまいました。
そんな時は、RAW現像・レタッチをガッツリ使います。仕方がないのです。
救われたのは、撮影範囲内に、スポットライト的な強い光が入らなかったことです。

完全に陽がさすと、いくらRAWでドアンダーにしても影が濃くなり、「陽がさしている感」が消えずにうまくいきません。
あと、空を入れないというのもポイントの一つです。

今年はゲンジボタルで姫っぽく!チャレンジ

XF90mmを使ってチャレンジしました。XF90mm、いいよ。本当にいいよ。

蛍ポートレート

前撮り。jpg撮って出し。これは前撮り的にはほぼ成功です。
19:00ジャスト頃。日没は19:15。
僕の中では、ほぼアウトに近いギリギリ。ほぼラストカット。
もちろん、マニュアル露出で弩アンダー。
贅沢を言えば、岩場は白く写りやすいので水をかけて黒く写るようにしておくべきでした。(乾いてしまった)

通常の蛍撮影(比較明合成)だと、日没後から撮影開始。

ここは、蛍が20時ごろから活性しはじめる。

蛍ポートレート
シャッター速度を速めることで、ゲンジボタルも、曲線でなく「玉」になります。
線にするゲンジボタルは30秒とかの長秒露光をしますが、玉にする場合は1秒未満です。
その分、重ねる枚数が多くなります。

蛍ポートレート
20コマを重ねると、↓のようになります。
蛍ポートレート

僕は面倒なので、20枚一組で何セットかまず作成し、それを前撮りに重ねるという方法をとりました。

蛍ポートレート

結果が、こちら。

蛍ポートレートは、単に蛍が飛べばよいというだけでない面白さがあると思っています。

「蛍がどのように飛んでくれると予想できるから、ここに人をいれたらキレイなんじゃないか?」という希望に対してそのように上手くいくかどうかが楽しみと思っています。

もちろん、好き勝手に画像加工で動かせばよいのでしょうけれど、うまくいかなかったら仕方ないよねーくらいのスタンスでいってるので、逆にうまくいくと最高な気分になります。

手法を記事にしたわけ

当初、蛍ポートレートはたんなる思い付きでした。

でも安全対策やら、「蛍が飛んでいる時にストロボ炊くなんて!蛍保護がうにゃうにゃうにゃにゃ」みたいな人が現れるかもなぁという想いから、蛍の生態に詳しい方に聞いたり調べたりしながらわかる範囲ででも勉強したり対策を立てたりしてきました。

正直、蛍が飛んでいる時にストロボを炊く事は一度もしたことないですが、見た人がそう勘違いしてしまうのも事実ですしね。

もちろん今ですら100点の対策は立てれていないけれど、それでもある程度ノウハウはたまったので、この期に公開しようと考えました。

単に写真だけ公開して、ルール無視で他のカメラマンさんに迷惑をかけたとか地元の人とトラブル起こしたとか、そうなってしまうことは本意ではないのです。
※ちなみに僕は地元の方に「にいちゃん本格的やな。マムシに気ぃつけや~」って言われたくらいですかね。挨拶と笑顔大事。

蛍ってすっごく素敵だし、僕は毎年撮りにいくくらいにはハマっています。

蛍は大切にしたい。

だからこそ、この記事の中で手法をできる限り書かせていただきました。

本当に長文でしたが、読んでくださった方、ありがとうございました。

ほいじゃあね。

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