前回までは印刷するサイズのアスペクトの話をしました。
最近欲しいものはXF70-300mmとCanonのR6です。別に高画素機いらないから高感度欲しい。
どうも、ぱんだり(@pandaryman)でございます。
いやいやそれでも高画素機は正義だと思いますけれど。
はじめに~トリミング、どこまでしてますか~
みなさん、トリミングはどこまでしてますか?
よく「高画素機だからいくらでもトリミングすればええんじゃ!」なんていうくせがつえぇ声もよく耳にします。
それならば、鳥を撮るにしてもフルサイズの24mmf1.4とかの広角の高分解能なレンズにフルサイズの高画素機でパシャって撮ってトリミングすればいいですよね。
でも実際はそれでは綺麗に出力されませんよね。パースの問題もあるけれど、分解能というかレンズ側の解像度のお話もありますし。
本当に複雑な問題…
なによりやっかいなのは、トリミングしてもSNSでは綺麗に見えた写真が、プリントすると急に汚くなる問題。
これ、必要な画素数が足りてないことが原因であることが大きいです。
「じゃあ実際にどれだけのトリミングに耐えられるの?どこまでで止めておけば綺麗にプリントできるの?」というお話を今回はしてみたいと思います。
プリントレベルで綺麗に撮影する というのは、実際にSNSなどに比べると制約が多く難易度が高いのですが、今回の内容を知ることで一つ問題が解決するのではないかな?と思っています。
(これは写真が上手い/下手とか構図が綺麗/汚いの話ではなくて、トリミングに関するお話です。
反論される前提の方、論点をずらされませんようお願いいたします。)
1.dpi/ppi とデータの画素数について、簡単に理解しよう。
ここでは簡単にいきますね。細かな話はフォトマスターとかその辺を受ける時だけでいいと思いますよ。
でーでーわーとりゃえーんじゃ(大体理解していたら大丈夫ですよ)
厳密にいえばdpi(dots per inch)とppi(pixcel per inch)は異なります。
どちらも、1インチの中にいくつのドット/ピクセルがあるか? というお話です。
さて、プリント(こと印画紙プリント)の世界になると、点の数が一番大切です。
ピクセルさえ十分であれば(アスペクト比の話は除いて)、dpi/ppiはもう同じだと思っておきましょう。
(あくまでもプリントベースのお話で。)
ここで、プリントの解像度が300dpiと定義しておきます。(実際は諸説あり)
1インチのライン上に300個の点があれば、人の目ではドットを判別できない、綺麗に見える という説から来てます。(らしいですよ)
Q. 300ppiの条件で、10cmのライン上にはいくつのピクセルがありますか?
A. 1181ピクセル(300pixel/2.54cm×10cm)
写真が好きな人なら、六切サイズを覚えておくと良いでしょう。
六切サイズ(エイト バイ テン)=8インチ×10インチ=203mm × 254mm
1インチ=25.4mm=2.54cm でバッチリです。
余談ですが、フォトマスター1級の過去問にはこれにまつわる問題もありました。
僕は、この数字を覚えていたので対策はばっちりでした。(出なかった…涙)
2.で?ppiはどのように使うの??
「mmの単位を、ピクセル単位に置き換えるときに使います!」
あくまでも写真のお話です。
デジタルの世界では、特に意識しなくて良いと思います。
画面上でもピクセル。SNSに上げる時もピクセルだけ意識すればいいので、dpiなんて意識しなくても大丈夫です。
(乱暴すぎる理論ですが。)
相手の画面サイズ(mm/インチ)なんて関係ないのです、相手の画面のピクセル数さえわかれば十分です。
しかし、プリントはmm(またはインチ)で意識されることが多いです。
L版は89x127mm。
A4サイズは210x297mm。
四切は254x305mm。
一体どれだけのピクセル数があればよいのかわかりません。
そのため、300ppiという尺度を使い、必要なピクセル数を算出します。
L版なら、
(短辺)89mm×300pixel/25.4mm = 1051pixel
(長辺)127mm×300pixel/25.4mm = 1500pixel
つまり、300ppi換算で、1051x1500pixel=約150万画素あれば綺麗に出力されます。
これはあくまでも尺度でしかありません。
実際問題、72ppiで設定されていたとしても、1051x1500pixelを超えていれば綺麗に出力されます。
プリントに際して、ピクセル数さえ正しければ、ppiがいくらであるというのはほぼ関係ありません。
(厳密には若干影響しますが、お店プリントであればその影響はほぼZEROです。ほぼね。)
注意しなければならないのが、Photoshopなどでmm指定でキャンバスを作る時に、ppi設定を間違えないようにすることです。
Photoshopの初期状態は72ppiになっている場合があり、そのままmmを指定すると72ppiでピクセル数を計算してキャンバスを作成します。
例えば、72ppiでL版(89x127mm)のキャンバスを作ると252x360pixel=9万画素しかありません。
これでは、綺麗にプリントできません。
mm指定をするときは、ppi設定に注意する。
これが大切です。
一番は、出力機に合わせたppi設定にすることですが、わからなければ300ppi程度にしておけば大きな失敗はないでしょう。
3.実際に必要なピクセル数は?
ここに、主な写真サイズのmmサイズとピクセル数を表にしています。
出力機にもよりますが最高画質にする場合、これだけのピクセル数が必要になります。
サイズ | mm | 300ppiサイズ (pixel) | 画素数 |
大全紙 | 508×610 | 6000 x 7205 | 4,323万画素 |
A2 | 420x594 | 4961 x 7016 | 3,481万画素 |
全紙 | 457×560 | 5398 x 6614 | 3,570万画素 |
A3ノビ | 329×483 | 3886 x 5705 | 2,217万画素 |
半切 | 356×432 | 4205 x 5102 | 2,145万画素 |
A3 | 297×420 | 3508 x 4961 | 1,740万画素 |
ワイド四切 | 254×366 | 3000 x 4323 | 1,297万画素 |
四切 | 254×305 | 3000 x 3602 | 1,081万画素 |
A4 | 210×297 | 2480 x 3508 | 870万画素 |
ワイド六切 | 203×305 | 2398 x 3602 | 864万画素 |
六切 | 203×254 | 2398 x 3000 | 719万画素 |
2L | 127×178 | 1500 x 2102 | 315万画素 |
KG | 102×152 | 1205 x 1795 | 216万画素 |
L133 | 89×133 | 1051 x 1571 | 165万画素 |
L | 89×127 | 1051 x 1500 | 158万画素 |
DSC | 89×119 | 1051 x 1406 | 148万画素 |
ただ、経験則でいうとA3ノビを上回るサイズになってくると「鑑賞する距離」が広がるため、
必要画素数の1/4程度までなら耐えられるようです。(個人差あり)
ちなみにフルHD画質は、1920x1080pixel=約200万画素です。
L版やKG(ハガキ)版程度の画素数です。
面積が小さいと粗が見えにくいという特徴があります。
「スマホなら綺麗に見えるのにA4とかの写真にすると綺麗じゃない」という現象は、こういったところから始まったりすることもあります。
※逆に、プリントで綺麗なものは(色傾向はともかく)画面で見ても十分に綺麗な事が多いです。
それでも今後、画面の密度が上がってきて8Kスマホとかが出てくると、プリントとの差は無くなってくるかもしれませんね。
4.トリミングは実画像に対する画素数を参考にしよう。
ここに2600万画素のデータがあります。
長辺と短辺それぞれ1/8ずつトリミングします(水色の線)。
それを、元のサイズまで引き延ばします。
Q.この画像は何万画素ですか?
A.この画像そのものは、やはり2600万画素ですね(引き延ばしたんだもの)
でも、綺麗じゃないですよね?
なぜなら、拡大した時点で足りない情報を補いながらサイズを大きくしているからです。
実際には、いろいろな法則で計算して足りない情報を保管しているので、厳密に考える必要はありませんよ。
ニアレストネイバーだとかバイキュービックだとかウスゲハエールだとか、そんな画素の補完法があります。(なんか混じった…)
ただ、基本路線として、元画像でトリミングした時の画素数より大きな画素数が必要なもので出力すると綺麗にならない としておくと良いです。
今回の例では、トリミングしたタイミングでの画素数は約40万画素でした。
(長辺×1/8)×(短辺×1/8)=約40万画素。
つまり、L版でもちょっと厳しい画質 という感じでしょうか。
※今回、長辺720pixelあるのでブログに実寸で上げるには問題なさそうですが。
5.実際どこまでトリミングできるの?
答えは、カメラとレンズと出力サイズによる というのが答えです。
例えば、SNSを主体とする人はシステムにもよるでしょうけれど、400万画素もあれば十分ではないでしょうか?
※iphone12Maxで2778x1284pixel=約357万画素←この辺、何か絡んでそうですけどね。持ってないから知らぬのです
4K画質を主体とするならば、830万画素あれば十分ですよね。
データハンドリングを無視するならば、これらの画素数を超えていればOKというわけです。
極論から言えば、SNSで1億画素をアップしたって良いんです。(システムが対応できるかは別問題)
基準値を下回らなければいいのです。
コンテストへの応募やプリントでA4やワイド四切を使うと考えるとどうでしょう?
A4で約870万画素、ワイド四切で1300万画素あればじゅうぶん綺麗に出力されます。
例えば、2600万画素のカメラの場合、ワイド四切に出力するとなると面積1/2までのトリミングが目安になります。
↑面積1/2って大体これくらい。男の子が水を被ると女の子になるのはらんま1/2。玄馬ししょぉ~!
これ以上トリミングをすればするほど、どんどん画質が悪くなる。ということです。
A4なら面積1/3まで可能です。
それでは、5000万画素のカメラだとどうでしょう?
ワイド四切なら、面積1/4までトリミングしても大丈夫!
ですが、トリミングすればするほど粗が見えてきます。
レンズの解像度も非常に影響してきますし、ほんのわずかなピントのずれすらも目立ってきます。
パープルフリンジなどの収差もトリミングすれば画面に占める面積が増えて目立ってきます。
高画素機だからトリミングに強い は、事実だと思いますが、トリミングを前提とするのであればその分、レンズへの投資をしっかりしてあげた方が良いのではないかと個人的には思います。
※もちろん、ピントに気を付ける、ブレに気を付けるという点も重要になってきますが。
トリミング後の画質は、さまざまな影響も絡んできます。
今回のように単に画素数に着目するだけではいけませんが、参考の指標としては知っておくと良い事の一つかな?と思います。
まとめ
カメラマンの中にはトリミングが悪のような思考の方もいらっしゃいますし、それはそれで正しいと思いますが、ある程度のトリミングも許容していって良いんじゃないかと僕は考えます。
個人的には、トリミングは画面面積1/2まで、くらいのゆるい縛りでいくと写真も綺麗に楽しめると思っております。
それぞれ想うところはあると思いますが、人それぞれで基準を設けてみられてはいかがでしょうか?
今回はこの辺で。
ほいじゃぁのぉ~~!!
おまけ:今回のカメラと欲しいカメラ
たしか
最近ちょっと欲しいのはこちら。
高画素機も気になるんだけどね。
でも写真をめちゃくちゃ大きくもしないしそこまでトリミングしないしなぁ…それより高感度欲しい。
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